醤油絞りワークショップ


この日は朝から醤油絞りワークショップ@仁和寺近くのご家庭にて。

一年間、みんなの家では醤油を仕込んでおりました。
昨年のちょうど今頃、南丹市にある美山里山舎さんとご一緒させていただいて。

同じ材料で仕込んで、それぞれ美山と丹波で仕込んで、味に違いがでるのかどうか。それを実験する意味もあって、これまで別々で仕込んでいたものを、この日同じタイミングでそれぞれ絞ってみようということで二回にわけて絞りました。

醤油比べ

どちらが丹波で、どちらが美山かわかりますかね?笑

丹波醤油

うちの方が、表面に結晶が浮いているやつです。

美山醤油

これは何なんか、ずっと気になっていたので、醤油絞り師の齊藤聖也さんに聴いてみました。

齊藤さん

するとこれは、グルタミン酸ナトリウム(俗にいう旨味成分というやつですね。あじのも〇的な)とのこと。

発酵するにつれて分解されてでてきたグルタミン酸に、塩(ナトリウム)が結合したんだと。
天然のグルタミン酸ナトリウム。なかなかないですよね。ちょろっと食べてみますと、感想は、

“とてつもなく、美味い塩”でした。
やばいですねこの塩は。大量生産したい。

それにしてもなぜ丹波の方に出来て美山の方に出来なかったのかというと、どうやら日光の当たり具合が丹波の方がよかったらしく、そのおかげで発酵が随分と進んでいたようです。

醤油とか味噌とか、これまで仕込んだことなかったんで勝手な偏見なんですが、仕込みの際はずっと屋内で日の当たらないところに貯蔵して寝かせるという感じのイメージでしたが、この醤油は日に当てていくんですね。

毎日の出し入れが大変でしたが、そのおかげでうまくいっていたようです。

もろみにお湯を入れてとかしまして、それを醤油絞り用の袋に入れて圧縮していくという流れ。

この一年間の集大成。一人で猛烈に感無量でした。
ちゃんと出来てたんだなって安心しました。先述のグルタミン酸ナトリウムが発生してきて、もはや醤油を通り越して味噌になってんじゃないかと心配しておりました笑

生醤油

最初にでてきた醤油が、俗にいう生醤油ですね。
出始めの時と、最後の方でどんどん味が変わっていきます。

そもそも、絞る前のもろみは沢山の塩が使われていたので、もろみを食べると相当塩辛いものでしたが、こうして絞っていきますとその塩気が薄れていき、醤油自体の香りや風味、コクがどんどんでてきました。不思議ですね。
絞り方を変えても、味が変わりそうです。奥深い工程です。

生醤油は、参加者の皆さんで卵かけご飯にしたり、うどんにかけて食べたり、なんたん暖炉で焼いた芋にかけて食べたりと、色んな食べ方をしました。
やはり、定番の卵かけご飯とうどんは絶品でしたね。

ちなみに、丹波の醤油と美山の醤油と、味を比べてみましたところ、
丹波のは発酵が進んでいたので濃口醤油寄り。香りはそんなに強くない分コクが深く、塩気が薄く甘みと旨味が強いという印象に。
美山の醤油は薄口醤油寄り。香りがパッと広がってきて、丹波の醤油より塩気を感じるもののスッキリとした味わいの一品という感じでした。同じ材料でも全然違うモノになりますね。気候の差や管理の方法によってこれだけ変わってくるのであれば、同じ丹波の地であちこち色んなところで仕込んでも全然違うものになりそうです。

たまごかけごはん

醤油絞りのワークショップが終わった後、家主の方が来られ、醤油で布を染めてほしいというご要望があり、醤油に付け込んで染色されました。

醤油染め

いい色合いですね。
こうした天然の染料で染められた布は、素朴で温かい風合いがでてますね。

その後は二条方面へ移動し、参加された皆様と懇親会。
途中で少し席を外し、昨夜泊めてもらった宮島ベースの住人とシェアハウス談義。

みんなの家がやってきたことが、そっくりそのまんま、よそでうまく当てはまるとは到底思えず、やり方は色々存在する。
何がうまくいって、何がうまくいかないかは、やってみないとわからない。

美山には美山の良さがあるし、丹波には丹波の良さがあるから、各地域にあった家になっていったら面白いなあと、思いますよ。

それにしても、醤油おいしくできてよかった。
今度、品評会しましょうかね。そして来年、一緒に仕込む人も募集していきましょうか。
自分たちの食べるものは自分たちで創る。その一歩。