あり方を問い直す
http://toyokeizai.net/articles/-/103118?display=b
わかる。
子供の頃から実家のトイレにはPHPの小冊子が置かれていて毎号もれなく読んでた。日々なんかよくわからんままうまいことやってはる人の話やら苦労人の話やらを刷り込まれて育ってきたので、こういうのがよくわかる。
おれはやっぱり、コテコテの昭和のおっさんやなと自覚してる。
(あんましこういう括り方好きじゃないけど便宜上)今の30〜40代以下は“やり方”にこだわる人が多く、50〜60代以上は“あり方”にこだわる人が多いと感じていて、そこにズレがある。前職の時から年代が上の人であればあるほど意気投合することが多かったのもこの辺。
例えば同じ、年商1000億円の上場企業の社長さんが二人いるとして、
一人はやり方にこだわる人で『年商1000億円を目指す』っつって頑張ってきた人と、
一人はあり方にこだわる人で『社員が楽しく充実した仕事ができるように』っつって頑張ってきた人といたら、おれは後者が好きだ。
この記事の中の二人のやりとりで、根本的にキーとなっているのは、
“お互いを信頼している”ということだと思っていて、
信頼してなかったら、『いやいや待てよ、松下幸之助さんがこんなことをする人じゃない』って信頼できなかったらもうこんな話になっていない。松下幸之助さんの意図は何かなんて探ることもないし、意図に気づくとかならない。こいつアルツハイマーちゃうかな?で終わる。
“やり方にこだわる人は、あり方にこだわる人がやることが理解できない”のだ。語弊を恐れずにいってしまえばあり方にこだわる人にとってやり方は基本なんでもいいと思っているので、やり方そのものに意味は特に置いてないのだ。
一昔前までは、
『日本は察する文化だ』なんて言われていて、何1つモノを言わなくても相手が何を考え何を大事にしているのかその背景や意図をくみ取ることができるだとか、以心伝心、師匠が何1つ言葉で教えなくても弟子はその師匠の背中を見て学んでいくといった、およそ“察する為の能力を養う環境や教育姿勢”といったところがあった。
しかし、例えば今回の記事にあるような話がふっと世間に出回り、松下幸之助さんがこんなことして人を育ててるらしいですげーな俺らも見習おうってな具合で、ここで用いられた“手法”だけにフォーカスがあたり、同じ“やり方”が世間に蔓延し、この話の根本的な成立要素として必要である二人の“あり方”であったりとか、“信頼する”といったところが抜け落ちてうまくいかないケースだけが増え全然あかんといった具合になったりしていくのが想像に難くない。
成功者になる為の七つの習慣がどうとかいう本がベストセラーになろうが全くもって成功者が増えない構図と、
精神科やカウンセラーがガンガンに増えても一向に精神的に健康な人が増えない構図と、
コンサルタントと呼ばれる連中だけがガンガン増えて世の中の問題が一向に減らない構図と、
相手が何を考えてるのかこれを読めばばっちりわかります的なノウハウ本が出回っても一向に相手の心理や意図が汲めない人が蔓延している構図も、この辺りの話と同次元。
近年の子供たちは察する文化を失ってしまった大人達に育てられていて、相手の意図がくめなくなった時代に突入したと随分前から話にあがっているが、一向に改善される気配がなく、
“コンビニでレジの前に並んでいる人がいます。店員さんを前にした人が、ポケットに手を突っ込んでごそごそしています。さて、この人は何をしようとしていますか?”と聞かれた子供は躊躇なく“強盗しようとしている”と答えるんだとか。
もはや“普通に考えて”、“代金を払うためにお金を出そうとしている”とは出てこない。
水族館に足を運べば、切り身の魚が泳いでいると思っている子供がいるとか、
虫かごの中にカブトムシを飼っていてある日死んで動かなくなると『お母さん、カブトムシ壊れたー直してー』という子供がいるとか。
“あり方を問い直す”必要があるんじゃないかなと。
このニュースも、
“どう受け取ったあなたなのか?”が、俺の中の争点。
“世の中色んな人がいる。人それぞれ”
そう口走りながら、全然そう受け取っていない、感じていない人がたくさんいる。本当に人それぞれなんて思ってる人が、相手に対してなんで自分のゆってることが理解できないのか?なぜ皆は自分のゆってることに理解してくれないのか?なんて悩むはずがないのだ。人それぞれなんだから。
丹波にきてからも、愉快な人に沢山出会う。
地域の為にとかいいながらやりながら、“自分の為に”というところに突っ立っている人。
地方創生とかいいながら、“自分の立場の為に”ということろに突っ立っている街中の人や役場の人。
ちょっと前におもろいCMがあったなあ、そういや。“あなたの為だから”とかいって“自分の都合の為に”言い捨てる人。
どの口がゆうとんねん、というやつですな。
思っていることと、ゆっていることと、やっていることが、完全に一致した状態にある人は、極めて少ない。
ゆってることや、やってることだけに、惑わされてしまわないように。
目の前の事実が全て、いつも物語ってるやないか。
あり方を問い直そう。