N=1とどこまで向き合えるか?


昼から兵庫県の多自然協議会主催の移住セミナーにお呼ばれして、神戸へ。

セミナーの前に一人、自分よりも若い兄ちゃんとの面談というか、おしゃべりすることになっていたので昼飯がてら色んな話をして、聴いて。

ミント神戸

彼は、とある行政絡みの仕事をしていて、でもあまりにも理不尽な話多いし、こうしていきましょう!と話し合いで決まったことが後日いとも簡単に“勝手に”変わってるし、A案にしますかB案にしますかで協議して満場一致でA案でいこうってなったのに後日、A案を始める前にやっぱCとかDとか別の案まで繰り出してきてまた振り出しに戻ってっていうようなことがあったり、やりきれなさで今働いてる職場を辞めて新天地を求めているんだという話で。

“またですか・・・”

正直、こんな気持ちになった。どうしてこうして、世の中、こうも若い素質ある人材を活かし切らないのか。

もう何人目やろう。こういう話を聞くのは。
もうね、正直、日本全国的に歪んでると感じている。特にこの、地方創生絡み。

地域おこし協力隊やらもそう。何度聞いたか。行政職員のアルバイトみたいな雑用係にされているとかね。
うちの話じゃなくて、よその地域おこし協力隊からですよ。なぜうちに、よその協力隊がヘルプを出すのか?
歪んでる証拠でしょう。

ほんまなあ、あかんて。

地方は人材不足で深刻。どれくらい深刻かって、もうね、ガチなの。もうほとんど待ったなし。
待ったなしってどういう状況かって、赤字が膨らみ過ぎてもはや自身の現世で返せそうにない状況にまで来ていたり、もう自分がこの世を去ったら今携わってる技術はもう世界から消えるっていう状況にあったり、今あと一歩だけ足を進めることができたら世界で勝負できるのに勝負に出れないから沈もうとしているとか、あと一人その集落から去ったらもう集落がなくなるとか、そういった切迫した先が本当に多くなってる。

だから、若い人材でこれから先生き抜いていくポテンシャルがある人材を求めてる。

こうして、せっかく類まれなる素質をもった人間がやってきたにも関わらず、雑用に回して、職員がやり切らんタスク押し付けて、せっかく出した意見捻じ曲げてまで先延ばしにして、せっかく決めた案歪ませてって、そういった行政さんは一体どこ向いて生きてるんでしょうかね。その地域の人の声すらちゃんと聴いてるのか疑いたくなります。聴いてないから、真っ向から受け止めてないから、そんなことできちゃうんでしょ?

年々、地域おこし協力隊の年齢があがっているっていう話は、幾度となく耳にする。地域おこし協力隊ですら高齢化が進んでるなんていう話も聞く。一体、何がしたいのか。何をしてもらいたくて、わざわざ街中から地方へ、人生変えてもらってまで引っ張ってきてるのか?

自分たちができないことをやってもらう為でしょう?
自分たちではどう頭をひねり出してもひねり出せないアイデアを出してもらう為でしょう?
自分たちだけではもう守り切れそうにない大事なものを守ってもらう為でしょう?

それなのに、なぜ雑用なのか。自分たちと同じようなことをさせることを強要するのか。

よそものを、よそもののまま居させ、活かすことが何より重要でしょう。
自分たちと同じにしちゃったら、それはもう地元の人を採用しているのと一緒。それなら行政職員を行政の予算で雇いなさいってことになる。

どんだけ町をPRしても、どんだけ人口ビジョン描こうと、どんだけ移住がどうとか施策打っても、そもそもの土台がそんなんじゃ、絵に描いた餅でしかない。PRしてる場合じゃない。

この現象、どんどん増えてくね、間違いなく。

一応いっておくと、協力隊になろうとしている人、協力隊の人を全て応援してる訳じゃない。本人の素養の問題もある。
俺は、どっちの味方でもない。ちゃんと、やることやってるやつの味方したいとは思ってる。身の回りの環境のせいにして自分の仕事ができない言い訳するやつとか、成し遂げられない言い訳するやつは言語道断。

何がどういう状況で、いかなる環境下であっても、決めた仕事を成すのが社会人や。なめたらあかん。

移住に関するイベントも、一旦、予定していたものは今期これで終了。
直接、僕とお会いした皆様におかれましては、どうもありがとうございました。

日本全国、色んな自治体が今、相談窓口を設けて。ずっと前からやってるところもあれば、このブームにのっかっただけみたいなノリで急きょ用意したところもあれば、未だわれ関せずなところもあり。色んなところがあります。

一年間、フルスイングで関わってみて、いくつか僕の中で今後こうあるべきといった結論が見えてきたんですが、結局、相談にくる人は皆さん、置かれている環境も違うし、今後やっていきたい方向性も違うし、千差万別なんですね。

“人それぞれ”
“人生色々”
“十人十色”

口でいうのは簡単。でも、この言葉を口にする人で、本当にそう思ってる人は一体この世に何人いるんだろう?って思ってしまう。どうしても、相談内容の過半数を占めるものから対策をし、汎用性の高い制度を設けてみたり。

でも、本当にね、人それぞれなんですよ。少なくとも、この一年間、僕が受けた限りでは。
全員、結果的にこうしたらいいって話をした内容は、全員に違うことを言ってる訳です。もちろん、一部だけ切り取れば同じことをいったケースもあります。総合的な話です。

たった一人の、目の前の人の一人の意見を、どこまで真摯に応えられるか。
N=1の、たった一人の意見を、どこまでその地域に反映できるか、受け取れるか。

日本全国の田舎の中で、一番多くの移住者がいる地域というのは、こういったN=1の意見を、考え方を、生き方を、より多く受け入れられた地域であるといっても過言ではないはず。

移住相談窓口というのは、こないだもゆったとおり、会社でいうところの人事。
人事がどうこうで、採用人数は増えません。会社がどれだけ素晴らしくて、どれだけ素晴らしい人材がいて、そして受け入れられるだけの収益があり、価値あるものを創り出せるからこそ、人が集まってくる。

どうしようもない会社に、ガンガン人が採用され、応募が殺到するなんてこと、ありますかね?
あったとしたら、まあ詐欺です。ええようにいうと、みせ方がうまいって感じですかね。でもそれで結局、定住しますかね?

普通に考えたら、N=1の意見なんてなんの信用もできないデータ。
たった1人にしか聴いてないアンケート結果で、日本はこうだ!っていっているようなもんですから。

でも、それができるかどうか。
ここが、肝だと思ってる。もちろん、どうにもならんこともある。でも、ここに尽力できるかどうかが、何よりも大切だと、思ってる。

来年度、どうなるかまだ何もかも未確定やけど、譲ったらあかん軸は、ここやと思いますよ。