近畿唯一の結納台屋さん~細見木芸さん~


昼から奥様と子供はママ友に預け、春日町上三井庄にある細見木芸さんへ取材に。

細見木芸さんは現在二代目。
昭和35年創業の、冠婚葬祭で用いる道具をつくっている木工屋さんで、主に結納関係の、その中でも結納台をつくっている事業者さん。

この木を曲げる技術が特殊で、結納台をつくるには欠かせない。

つくっているものの中には京都と滋賀にしか卸していないというシェア100%の代物もあったり。やはりこうした特殊な技術はニッチながらも確実に需要はあるもので、知らない世界があるもんだなあと感心しっぱなし。

作業場の中にはたくさんの機械があり、汎用機もあれば、オーダーした特殊なものも。実際に作業する人にしかわからない、ここもうちょっとこうなったらいいのに、といった具合のニュアンスを実現しようと思えばやはりオーダーメイドじゃないと存在しないもんで。

一昔前までは、この細見木芸さんが存在する春日町の大路地区には30件程木工業を営む事業者があり、結納屋さんも4件(全国では50件程)程あったそうだが、年々時代と共に業界自体が下火となり閉鎖する事業者が出てきて、今となってはこうした結納台をつくっているのは近畿ではもう細見木芸さんだけになってしまったんだとか。創業当初、結納関係8割、葬儀関係2割程だったそうだが、今はもうすっかり逆転してしまったそう。高齢者が多いもんねー。

2代目の細見靖さんは高校卒業後、某大手製作所に10年程勤めに出てUターン。Uターンしたきっかけは子供の頃から親にお前は将来この事業所を継ぐんやとずっと言われていて、将来はそうなるんだなということを特に違和感もなく思っていたんだとか。

この、“将来家業を継ぐ”という選択肢があるのはやっぱ、地方出身者のもつ一つの特徴だなあと思う。もちろん全員じゃないけど、やはり街中育ちの人達に比べ多い。

色んな木工の機械があるから、色んなものを創ろうと思えば当然できてしまう。ということで、たまに遊びで色んなものを創っていたりもするんだそう。そのうちの一つがこれ。昔ながらの水中眼鏡。これは実に懐かしい!という感覚は残念ながら自分にはないけど、親世代くらいの人にとってみたらこういうのん懐かしいんじゃないですかね?

こういうコースターとか、他にも色々。ペット用の葬儀セットなんかも作ってたり。色々創れる人が色々な武器に囲まれていると、ほんとアイデア一つで実際にモノができてしまうからそれが本当にうらやましい。実際に形に出来る人が昔から羨ましい限り。

細見さんが昔から愛してやまないという、工場目の前の田園風景。
上三井庄界隈は山が近い事もあって実に自然豊か。最近ではクマが庭の柿食いにきたってくらい自然豊か。

そうそう、今回は取材だけでなく、1つお願いしにきたのだ。とあるものを創ってもらいに。そのうちお披露目されることになるでしょう。楽しみである。

~細見木芸~
兵庫県丹波市春日町上三井庄1378
0795-75-1109