オトナのトライやるウィーク体験談:経過報告
先月下旬から実施中の、オトナのトライやるウィーク。
トライ中なのは現在尼崎にお住いの戸田君。
※説明しよう、オトナのトライやるウィークとは、
兵庫県がやってる中学生対象に行われている地元の事業者さんのところで就業体験する取り組みで、それのオトナ版。移住希望者の人にきてもらいうちで居候しながら仕事が決まるまでの間一週間ごとを目安に興味のある事業者さんのところへインターンしまくっていき決まるまで帰らせない自発的監獄制度である、って勝手にいって始めたインターンシップ制度である。
ざっくりと戸田君のご紹介をしますと
彼は今年の5月に三宮で行った移住相談会に来てくれた後、丹波に遊びにきてくれているうちにテンションがあがってきて
『とりあえず丹波にいくことだけは決めました!』ということで会社を退職、その後10月に結婚、翌日には我々が主催しているOsaka丹波会に夫婦そろって参加、そこで移住するにあたって色々話に乗る中で移住後の仕事をどうしようか?という話になり。
『田舎(丹波)でどういう仕事をして生きていくか?生きていけるか?』
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『そんなもんやってみなわからんからインターンシップでもしたら?』
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『確かに。じゃあそれで。』
ということで、一旦戸田君だけ先にみんなの家に居候しながら一週間ごとに興味のある先をインターンしていくという形をとることに。
これまでのキャリアが主に電気技師関係。
でも理想の暮らしとしては一次産業に就きたい(でも生きていけるか?家族を十分に養っていけるようになるかどうか不安)。
じゃあ、その両方にとりあえず行ってみようということで、タナカ建築板金工業さんと芦田ポートリーさんへ行くことだけがとりあえず決定。
かれこれ一か月が経ちましたので、日曜の夜二人でゆっくりと腰を据えてどんなもんだったか聞いてみました。
◆ここまでのスケジュール◆
10/25(日)
みんなの家に入居
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10/26(月)~10/30(金)
丹波市氷上町にあるタナカ建築板金工業さんにインターン
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11/2(月)~11/14(土)
丹波市氷上町にある芦田ポートリーさんにインターン
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11/16(月)~11/20(金)
ハロワいったり市内回ったり丹波の人に会ったり等情報収集
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11/25(水)
タナカ建築板金工業さんで単発で仕事
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今ココ
井口『この一か月間振り返ってみて、どう?』
戸田君『いやー、濃すぎましたね。しょっぱなが田中さんでしたし笑』
井『せやろなー。そういえば初日、立ち会われへんかったしなあ笑』
戸『まさかの出産でしたもんねー。
事前に井口さんに教えてもらった田中さんのFBのプロフィールみて、あ、絶対怖い人やわこの人って思ってどんだけ朝迷っても時間通りにつくように早めにでましたもん笑』
井『見た目とは裏腹にスーパーいい人なんやけどな笑
いいもんはいい、あかんもんはあかんとめっちゃはっきり言ってくれるし。しょっぱなには最適かなあと。』
戸『ほんとそうですね。初日から
「電気屋になりたいんか、やめとけ。電気屋は厳しいぞ。電気屋“も”できるやつはいけるけど、電気屋だけは厳しい。分母が少ないからな。お勧めせん。」
って真っ向からアドバイスしてくれましたもん』
井『田中さんとこで働いてみて、印象に残ったことある?』
戸『そうですね、現場で波板を貼る機会があって。
あんまりやったことなくて四苦八苦やってた時があったんですけど、ずっと後ろから見てくれてはって。普通、うまいこといかんかったらああせえこうせえって言われるような気がしますが、田中さんは僕がおぼつかない手つきでやってるのを最後までずっと後ろから見てはったんですよね。あれって、なかなか懐深くないとそうはできないんじゃないかって思いますよね。』
井『せやろな。心狭いやつとか自分に自信ないやつほど人にワーワーゆうもんやからな』
戸『ほんとそうですね、田中さんはその度量の深さもそうなんですけど、やっぱり自分でできはる範囲がものすごく広いから最終、どんだけやらかされてもどうとでもリカバリーできるわっていうのがあるんだと思いますね。』
井『やってはる範疇もめっちゃ広いもんなあ。こないだ試しに
NASAで使われてる断熱材使ってみたとか言ってはったし笑』
戸『自分とこで鉄の溶接までしちゃうし、“なぜ鉄と鉄がくっつくのか?”を説明してはる姿を見ていて、一体この世に何人こうやって溶接を語れる大工さんいるんだろう?って思いましたね笑』
井『色んなことを知っていて、色んなことができちゃうから、
色んな人から頼りにされてはるんやろうなあって思うな』
戸『マルチになんでもこなせないと仕事って降りてこないんだろうなって痛感しましたね。
“とりあえずあいつに話ふっといたらなんとかしてくれるわ”っていう感覚というか。好きにやってくれたらいいよって言ってもらえる間柄になる為には色々こなせるようにならないといけないなと思いましたね』
井『俺、個人的に田中さんの考え方がめっちゃ好きなんよね。
独自の世界観というか、そこいく?!的な笑』
戸『ほんと色々勉強になりましたね。設備投資を人件費として考えろって話があって、めっちゃおもろいなあって思いましたね』
井『何それ初耳。どんなん?』
戸『例えば、500万円の機械があるとするじゃないすか。それをローン組んで月10万円払っていくとしますよね。それを月10万で自分じゃとてもやることができないことを平然と文句も言わずに黙々とやってくれる人を雇ったと考えろと。そしたら、ローン払い終わったらどうなるかって、その後ずっと無償でボランティアしてくれるとてもいい子になるんだよと』
井『そこいく?!笑 やっぱ天才だなあ、田中さんは。その発想はなかったわ。』
戸『最終日、ご飯に連れていってくれたんですよ、その日いた他の大工さんとかも一緒に。そこで色んな話をして。
“君らのような根無し草というか、よそから丹波にこようという人らの考えが逆に俺らはわからん。丹波の何がええのか教えてくれよ。俺からしたらヨソモノがうらやましいと思う側面もあるけど、自分がそうなれるか、そうなりたいかって言われたら決してそうじゃないし。君らが俺らのことをおもしろがったり羨ましがってくれるのと一緒で、お互いそういう星の元で産まれてるんやって思うわな。求められているものが、互いに違うから”っていう話になって。
やる気になったらこんかいって言ってくれたのがすげー嬉しかったです。』
井『そうやなー。まじ憧れるけど、絶対なれないもんな田中さんみたいには。ほんま、基本的にこいつ絶対無理って思ったやつには嘘でもこいとか言わないからな、田中さん含め他のところも。ある程度やれたってことちゃうかな』
========(省略)===========
井『で、芦田ポートリーさんはどうやったん?』
戸『初日は関さんと芦田さんと朝一番で打ち合わせして。どれを体験させてあげられるか?とかっていうのを真剣に考えてくれはって。そこまでやってくれるんだっていうのがまず何より驚きでしたね。有難いなあと。
どちらかというと、インターンシップとはいえ何も決めてなかったのを承知でお邪魔しているので、いつもやってはることをお手伝いするという感覚でいましたので。初日は鶏舎と加工場と、卵洗ったり詰めたり。野菜を洗って発送してって感じでした。』
井『なるほど。それはー、ちょっとこっちもあまりにも投げ過ぎたかな笑申し訳ない感じやなあ。』
戸『二日間ほどやってみて、どうやった?っていう話になって。
もうちょっと鶏舎に触れる時間作りたいですって要望を言ってみたら、じゃあ戸田君に全部任せるねって言われて全部やらしてもらうことになりました』
井『ちょっwww』
戸『予め社長が鶏舎の直したいと思ってるところを聞いていたんで、木切ったりしてガリガリ修理したりとかも自由にやらしてもらいましたね。自由にやらしてくれるから居心地の良さを感じて長居しちゃいました。
流動的な現場だからこそ、かっちりしたものが何もなくて。めっちゃ楽しかったです。やっぱ俺は一次生産の現場が楽しいんだなあって』
井『一次生産の現場ってそんな感じやろな。日々状況が変わるし。生き物を扱うから特に。
これから鶏舎だけでなく、農業部門を開拓しようかとかね、色んな話があるもんね芦田さんとこも。まさに今これから仕掛けていくっていうタイミングの現場は、誰もやったことがないから、うだうだいう暇があったらとりあえずやってみるっていう感じが楽しいからな』
戸『ほんとに。充実してめっちゃ楽しかったんですけど、流れに身を任せて今ある鶏舎とかだけでなく、自分が入っていってがっつりと農業、っていうのは危険な感じがしたから躊躇しましたね。農業とかってやっぱそんなに簡単にいくもんではないんだろうなと思いますし、やっぱやめたってしにくいのもあるし、このままお世話になりっぱなしの中で理想を追い求めていくってのは何かどっかで迷惑もかけちゃいそうで。でも、芦田ポートリーさんは皆さんほんと優しくて、職場としてはとても働きやすい場所でした』
井『なるほどね。色んな意味で、理想の限界値みたいなもんが見えたって感じかな。最初の田中さんのところでこれまでのキャリアの延長線上で生きていく方向性を模索して、芦田さんところで理想の田舎暮らしを追求してみたってことになるかと思うけど、両方やってみてどう?』
戸『自分の中でまだ定まり切らないところもあるんですが、嫁さんともほんとによく率直に話すようにしていて、一旦はこれまでの路線で生活を組み立ててみようってことになりました。これまでやってた電気技師も第一線のプロレベルかって言われたらそうじゃないと思いますし、別に心の底から嫌な仕事って訳じゃないですしそれでしか役に立てない現場もあるんだっていうのがわかったんで。一次産業に夢をみていたのもあったけど、やっぱ自分の暮らし方としては、ちょっと違うかなと。』
井『ふむふむ。』
戸『僕は“やりたい仕事はあまりないけど、やりたい生活は腐るほどある”んですね。こういう暮らしがしたいっていう。目指す生活ができそうだっていう可能性を感じられるには十分だったというか。これまではやったことないんで、見えてこなかった部分ばっかりだったんですが、やってみてはじめて感じられる手ごたえというのもあって。
色んな自分のことを、改めて自己確認ができたトライやるウィークでしたね。』
井『やっぱ、とりあえずやってみるって大事やなほんと。やってみてからモノを言うっていうね。
これからもし今後、他にインターンしたいみたいなやつが現れた際に何かアドバイスでもある?』
戸『そうですね、時間に余裕があるなら絶対やった方がいいですね。色んな意味で自分の気持ちに白黒つくところもでてくるでしょうし。』
井『せやな。ある意味、田舎暮らしに向きませんっていう方に決まる人もいていいと思うねんな正直。全員が全員、合う訳ないからな。とりあえず、こっからどうするの?』
戸『しばらく関係ない業界にも飛び込んでこようと思います。
ちょっと、この期間で自分の中でチラチラと顔出す弱さを克服したいので毎日どっかしら飛び込んできます。
仕事始める前に克服したい癖なので、今のうちに。田中社長のお誘いはすげありがたいんですがもうちょっと、余裕がある間に自分に時間を費やそうと思います。』
==========(完)============
ってな、一か月間でしたと。
引き続き戸田君は今月末までひたすら日々ピンときたものにぶち当たりにいくというトライをしていく予定とのこと。
いいですねー、何事もトライ&エラーの繰り返し。こうしたらいいなんていう1秒以上先の未来は誰にもわからないんでね。動かなければどんだけ色々考えようが何もしてないというのは考えてないのと一緒。
仕事もそうですが家も探している(できたら春日町の大路地区界隈が理想)とのことなので、丹波市内の皆様、何かあれば応援お願いしゃっす!!!
戸田君
https://www.facebook.com/yuji.toda.3
===(やってみた井口の個人的所感)=======
やっぱ、あーだこーだ考える暇があったら、とりあえずやってみるってのはいいなあと。今回の仕事選びもそうやけど、家とかもね。
田舎暮らししてみたいんですよね~⇒ほなとりあえず一か月くらいしてみたら?
っていう感じでね。やってみないとわかんないんでね。預言者かお前はって感じでね。うん。
人から言われた体験談をいくら聴いても、参考にはなるけどそれに基づくには決定的に経験値が足りない。
じゃあとにもかくにも自分の中に経験値を積むことが大事。むしろ、それがないといつまでもブレる。
だって、自分の人生を自分で決めていくのに必要な判断材料となる経験値がないんやから。
当面、このオトナのインターンシップは本気の人にだけ提案してやっていこうかなと。
現状、僕らも大きく受け入れるキャパはないし、紹介する事業所さん達もなんでもかんでも受け入れるキャパはないだろうし、大きくやるには色々手間がかかるし、今僕の周囲と目の前で行っている現場のマッチングにはそうすることが適切とは思えないので、もう少しほそぼそと。
本気やからね、事業者さんは。俺も本気。なので、本気の移住希望者にしか今のところは実施できません、申し訳ありません。
だって、本気でいい事業所ってわかってて、本気じゃない人を紹介できないんですよね。こればっかりは。怒られたくないんだ俺は!笑
正直、だいぶうらやましい。俺も時間あったらインターンしてみたい。それくらい、個人的にかっこいいと思っている社長を紹介している。乗り越えてきたもんが大きい人であるからこそ繰り出せる優しさってのがある。田中さんも芦田さんも、やっぱ群抜いてるから。
もう少しどんな人でも受け入れられるようにしたいとは思うけど、ちょっと今はそうはできそうにないので、今後の課題ということで。
今思いつく理想のカタチとしては、
移住希望者のうち、インターンシップしてみたいという先があった場合に市内の空き家を活用してインターンシップ生同士が共同生活するシェアハウスみたいなんを用意して、日々市内の事業者さんのところへインターンシップしにいって、毎晩住人同士で振り返りミーティングして、最長一か月間の範囲の中で精いっぱい活動して出ていくといったことが市全体、もしくは県全体とかで
やれたらおもしろいかなと。
そのうち派生して、
どっか農業中心の集落があったとして、田んぼと畑が沢山あってでも人口がどんどん減ってきていて耕作放棄地がどんどん出てきていよいよ外から移住希望者きてもらわなやばいっていう先があったら、その集落の空き家を借りてそこに就農希望者の人にきてもらって、一日の半分を村の日役する代わりに残りの半日を地域住民の人から農業を教えてもらうってなインターンができたらおもしろいかなあと。
お互いそれで関係性が先に出来た方が、こいつやったらあれくらいの田んぼ貸せるなとか、うちの機材使わせたってもええかなとか判断できる材料にもなるし。何より、自分がちゃんと会って
話した上で、受け入れるかどうかの判断できるということは逆に責任もとりやすいでしょうしね。自分が決めたことなんだから。
せっかく空き家があるんだったら、やってみたら?とか、
田舎に興味あるんやったらとりあえずきてやってみたら?っていう現場作りができたらええかなと。
うん、まあ、そんな感じ。