自分から観た丹波布のブートニー


丹波布のブートニーをにいろの吉竹惠里ちゃんに創ってもらいました。想像以上の出来でびっくり。

https://niiro.stores.jp/items/5b0f84d2122a7d2d58004950

当初は別にブートニーを創りたかったわけじゃなく、丹波の人にとって“誇り”の結晶というか、身につけているだけで丹波に関わる人だとわかり、かつ身につけている自分を誇れるというか、おまけにそれを他の人がうらやましく思えるものというか。そういうものを創りたいと思っていた。

その背景としては大きく二つある。

一つは、これまで幾度となく丹波会という会をやってきて、その過程で“丹波会Tシャツ”なるものを創り。ただの個人的な意地とプライドと根性だけで生まれたようなこの代物を多くの丹波人が利用してくれて、今まさに丹波をPRする時ってな場合とか、丹波の人と集まる時であるとか、むしろ普段着として着てくれたりとか、色んな場面で利用してくれているのを見てとても嬉しく思っていたのと同時に、やはりTシャツというのは夏場限定的でまたカジュアルな場面に限定されているような印象もあることから、もっと別の、オールシーズンいけていっそのことフォーマルな場でも着用可能なものを用意しようかと思っていた。

もう一つは、これまでに会ってきた、生粋の丹波生まれ丹波育ちの子(俺よりも年下の子)たちやUターンの子らと話したりしてきた時にずっと感じていたことがあり。それは、この生まれ育った丹波市という土地に誇りが持てないということであったり、地元のあかんところが多すぎて愛せないということであったり、そんなこんなで愛想が尽きてますってなことだったりと聞く度に、なんだかなあとずっとモヤモヤしていた。

やはり移住の相談窓口というものをやっていた関係上、地域の課題を解決するなんていう会社をやってきたこともあり、どちらかと言えば順風満帆にいっていない、うまくいっていないレアケースな子らと関わってきたことの方が多いんやと思うが、平たく言えば“アンチ地元”な子らと接する度に、俺らの子供らも同じことになるんじゃないか?とか、ちょっと先の未来のことに思いを馳せるとなんとかできるものならなんとかせなあかんのちゃうかと思うようになっていて。

だからせめて、今、丹波市をとてもポジティブにとらえることができる人達に、そのポジティブな輪を広げていく為に、間接的にではあるけどうまく機能してくれるような“象徴”が欲しかった。

それが、結果的にブートニーになった。

丹波を象徴するものを創るとなった時に、真っ先に浮かんだのはやはり丹波布だった。
ただ、丹波布で製品を創るとなった際に色々大変であることは知っていた。

一つはコスト。
糸を紡ぐところから全て手作業である為、どうしても最終完成品が高くなること。ご存じの方はご存じの通り、丹波布の製品は基本お高い。着物なんかになると数十万を超えてくる。

二つ目は生産量。
先述の通り全て手作業である為、大量には生産できる代物ではないこと。

三つ目は丹波布の入手。
数が少ないのと生産者との直接的な知り合いがいなかったのでどうやって入手したらいいのかわからなかったこと。

四つ目は丹波布関係者のあれやこれや。
あまり深く把握していなかったが、誰かをたてれば誰かが凹むという事態は避けたかった。

等々。

諸々考慮した上で、丹波布を使う上で当初考えていたのは、“丹波布を大量に使うとコストが大変なことになる=大量に使わなかったらいい+少量でもちゃんと丹波布を感じられるものにすればいい”んだと。そして、丹波布を提供してくれる人にとって提供することがちゃんと喜べる状況にしておきたい、つまり、“丹波布の端布を正規の布と同じ値段で引き取ってあげられるのが理想”かなと考えていた。そうすると、生産者は布を織れば織った分だけ収入になり、誰もが喜べるんじゃないかと。

そんなこんなで、自分にはデザイン的センスも絵心も芸術的センスも持ち合わせていないので、こうしたプロダクトを創る上で誰に相談すべきかと考えた先がえりちゃんだった。

最初の打ち合わせでこの趣旨を伝え、できるだけ布を使わず、端布を使い、そしてオールシーズンいけてフォーマルな場でも身につけていられるものを洗いだしていった先が、ブートニーだったと。

写真のティッシュは、えりちゃんが俺の話をあーだこーだ聞いている間に創っていたもの。そう、一番最初のプロトタイプはティッシュ。ティッシュから全ては始まったのだ笑

その後えりちゃんが持ち合わせていた端布から試作品を創ってもらい、もう即座に完成品できちゃうんちゃうかとテンション↑↑↑だったが、にいろのHPに記載があるとおり、どんな布でも、誰の布でもいい訳じゃなかった。ここからはにいろのHPをご覧いただきたい。

かくして出来上がった、丹波布のブートニー。

見栄えだけじゃなく、手触りとしてもちゃんと“丹波布”か、“丹波布を感じられる”か?を生産者である大谷さんにも確認をとってあります。布の織り手に承認をもらえるというのは、とても喜ばしく、嬉しいことだった。

大谷さんが織り上げる丹波布は手触りがとても柔らかく気持ちいい。自分もそうだったがこれまでに丹波布に触れたことがある人は丹波布はゴワゴワしたもの、がっしりしたものという印象を抱いた人も多いはず。織り手でもない自分がどれが本物の丹波布かといったことは言及するつもりはないが、一消費者、一利用者として言えることは、布は、身にまとって気持ちいいものがいい。それに尽きる。今回のブートニーに関してはそれだけじゃなく、糸が細くそして均一に仕上げられ、編み目がびっしりしっかりと織り上げられた布しか製品にならなかった、という次第。

厳密には一点一点、見栄えが違う。全部が全部、一点もの。そして大量生産はできない。
所詮といってしまっても差し支えない程に生産量が限られている。でも、少しずつでも、真剣に丹波布を日々織り続け、技術研鑽に励んでいる織り手の助けになればとも願ってる。

だから、常ににいろには注文が入ってきて常に生産が追いつかないっていう状況になってくれたらいいなと思うけど、でも、出来たらこのブートニーが然るべき人達の手に渡っていってくれるのを、とてもとても、とても願っている。