アメリカ滞在記2日目~言語を超えた先の共通点~
時差ボケでなかなかに寝つきが悪い二日目。
滞在中のomni hotel。夜に外にでても静かで平和。梅田界隈となんら遜色ない程に平和。聴いたところによると、indianapolisでもこのダウンタウン界隈はそれなりに守られた環境下にあり、ここから南に下っていくとだんだん治安が悪くなっていくんだそう。
また朝からwoodmizer社へ。この日は様々な製品を見せてくれるということになっているのと、美山里山舎が実際に使ってみてあれこれ改善を要求したいところを関係者各位に物申すということに。
特に聞きたかった話は、どうやってこの簡易製材機で“正確な”直角が出せるか?ということ。
小関さんはとにもかくにも大工であり、日本の伝統軸組建築を行う人であるので、ただ単純な角材を作る以外にも長いホゾを作ったりしなければいけない。様々な加工の工程の中でこの簡易製材機を用いることができるか?今あるパーツで成立しないのであればどういうアクセサリーがオプションでつけられるか?というのを、先方の技術者と徹底的に話し込む。
ここで説明しきるのは実に難しいが、例えば、
木をベッドの上に置いて、まずは一旦上の方をカットし水平な面を出し、さらに反対に向けてもう一面をカットすれば上下に水平な面ができる。それを縦に置いて取り付けてある器具で固定し、押えれば90度の角度ができる、と先方が言う。
しかし、その固定されている器具は本当に寸分の狂いなく90度になっているのか?固定されているといいながら実際カットしていってみればブレードが進むにつれて木本体が揺れるのでそれでズレるんじゃないか?というような、本当に0.1mmのズレすら許されない日本の建築において使えるものにしようと思うと、そんなざっくりとでいけてしまうアメリカンな世界観は許されない。
正確な直角が出せなければ、組み立てていく作業工程で後で実にめんどくさい支障がたくさんでてくる。木には種類によって色んな特性があり、根本から切るのと上から切るのとで歪みも変わる。woodmizer社が扱う製材機には南アフリカや東南アジア、ヨーロッパ等で使われている産業用(プランテーション的なイメージ)もあり、およそ木をカットしていってそのまま材として出荷するいわばプレカットのような状態でそのまま売るならそれくらいざっくりとで構わないが、基本里山舎が求めているのは本番用の製材ができるか?というかなりシビアなもの。
単なる直角ではなく、“正確な直角”。なぜ正確な直角でなければいけないのか?
正確な直角を出すことにどんな意義があるのか?を、伝え、理解してもらう必要があり、この日本の大工のこだわりを叶えるツールになった際にどんないいことがあるのか?をイメージしてもらえるよう、昨日に引き続き中園さんがあの手この手で通訳をする。ほんと、通訳って大事だなって思う。通訳をしようと思うと、双方の放つ言葉の意味を理解できないと伝えられないし、間違った理解をすると間違ったことを双方に伝えることになる。
この妥協を許さない職人の世界観。
同じ一つの製材機を使って、あーだこーだとこだわりを持って向き合っていくと、行き詰る壁というものは確実にあって、その壁の乗り越え方について試行錯誤し、取り組んで行った先の世界観はどこも共通であり、取り組んだことのある人同士にしかわかりあえないものがある。同じ職人として、わかるわかる、それ俺も悩んだよ、それはこうやって解決したんだよっていう、双方のやり取りを見て、言葉や文化は違えど共通するものがあるんだなということを肌で感じることができたやり取りだった。
ランチは日本人の食べるものっぽいやつを、という心づかいのもと、cajun。ケイジャン。
見た感じ、カレーみたいなやつ。これ相がけになっていて、右がカレーっぽいやつ、左がなんかコーンのやつ。米はカリフォルニア米とかなんかな?ジャンバラヤとかそういう系のやつ。まあまあ美味い。
それにしても、こういうもんにもパンをそっとつけてくるところが実にアメリカらしい。全然いらん。まあでも、日本でいうところのやきそば定食みたいなもんかなと思うと、変な親近感がわく。どうしても欲しいんでしょうな。
またチェーンソーがみたいということで、昨日とは違うhardware storeへ。
こんな代物がしれっと売ってる。しかも、そこらへんのジュンテンドーとかコーナンに例えて言うならば、レジ近くに固めておいてある本日のお買い得コーナーのスポンジだかサランラップだか洗剤だかっていうレベルと同次元で。こういうところがさすがアメリカって感じがしますな。
そこらへんの日本でも買えちゃうような洋服のショッピングモールと違って、hardware storeの方が規模感も違って俄然テンションがあがる。こういうのが5万円で買えちゃう。これの上に簡単な小屋でも作ってしまえばいとも簡単にモバイルハウスが完成してしまう。土台が5万円・・・。日本でもこういう感じのもんがあればいいのになあ。自分たちでそこらへんの山から木を伐り出してきて製材して小屋上に置いたらほぼ10万円くらいでできちゃうんじゃないかとか色々妄想が膨らむ。
こういう屈強そうなゲージも5万。ちょろっと改造したらいとも簡単に箱罠にでもできそうな&うり坊でも捕まえてきて養殖できちゃうんじゃないかとか。置いてあるもんが基本ぶっ飛んでいてスケールが違うから超おもろい。
結局目当てのチェーンソー関連のものもなかったので、なぜか小関氏は大量にジーパンを購入。
田舎のおじさんは都会にくると無性に買い物がしたくなる性なのである。
LUCAS OIL STADIUMにさらっと立ち寄り。アメフトとかやってるそうで。ほんといちいちでかい建物が。
SUN KING BREWERY。indianapolisの人が愛してやまないクラフトビール屋さん。色んな種類を作っている。
入口で三枚チケットがもらえ、これで好きな種類を三種類試飲できる。本番は1杯500円くらいかな。寝不足のダメージが多きすぎて試飲で爆酔い。
アテンドはほぼwoodmizer社の社員で美山里山舎にもきたことのあるジョージ(写真右)。左はジョージの友達。この日夕方17時から一緒に遊ぶことになっていたそうで、昼から友達も同席。この辺の緩さがまじアメリカン。まじ自由。
二人のかけ合いをぼんやり眺めていて、まじ日本の同年代の兄ちゃんたちの何の生産性もないたわいのない会話で爆笑してる感じなのとまったく一緒。万国共通。異国といえど所詮はみんな同じ人間、ということをとてもよく理解させてくれた。当たり前のことなんやけど、いい実感をくれた。
その後17時にホテルに送ってもらい、夜のdinnerの予定まで少し時間があって、部屋に入った瞬間スイッチoff。
約束の時間をぶっちぎってoff、大爆睡。小関さんがドアをノックして大声で呼んでいたらしいがシカト、色々シカトしてたらしい。そんな音よりもすこぶるでかい音で部屋の外から陽気が客が音楽を流しはしゃいでいたおかげで目が覚め、完全アウトの30分遅れくらいで合流、平謝りしながらdinnerへ向かう。
晩飯前にショッピングしようということで、keystonemall。1時間程自由行動。
日本でもよく知られているものとしてはappleとかmicrosoftとかがあり、PC関連は値段がそんなに変わらなかった。あとthe north faceもあったけど値段変わらない印象。お高めのショッピングモールらしいから、値段もそれなりにちゃんととっているんかな。どれもそんなに安くないし、何よりもhardware storeのインパクトがでかすぎて全然購買意欲がそそられずその辺のソファで休憩。
keystonemall内にあった、cheese cake factoryで晩御飯。日本で見るチーズケーキらしきものは右下にしかなく、他のチーズケーキはどこがチーズケーキやねんというのが沢山あった。どれもなんてカロリー高そうなって感じの。しかしまあ、チーズケーキかくあるべしみたいな偏見を日本人はどこか作りだしてしまっていたのかもしれない。我々は細部にいたるところまでどこか思考を自ら狭め凝り固まらせてしまっているのではないか。寝坊とともにどこか反省した。
miso samonという不思議なメニューを一緒にいってた人が注文してた。
そういえばここまでのアメリカ料理を総括すると、こういう怪しい日本料理っぽいばったもんを頼むくらいなら潔くハンバーガーとかチキンとかステーキとかアメリカンなもんを頼む方がよっぽど美味しい。アメリカはご飯は普通に美味い。美味いんやけど、余計に味付けが濃く、繊細さは皆無で大味。とにかくハイカロリーさを感じるので、自分で制御しないと一瞬でマクドナルドの権化のような肉体になると思われる。
外にでると満月。そういえばアメリカは日本と見え方が違うんだっけな。なんやったかな、忘れた。